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ATA翻訳認定試験とJTFほんやく検定の違い

 
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子育て中の在宅翻訳者。 英語から日本語。日本語から英語。 専門は医薬分野。 京都在住。

IJET-29ではATA(米国翻訳者協会)の翻訳認定試験に関するセッション「ATA翻訳認定試験ワークショップ」も受けました。名前しか知らなかった試験ですが、だからこそ多くの情報が得られ、視野が広がってとてもよかったです!

 

私の場合、JTFほんやく検定にありがたくも受かり、今はアメリアの定例トライアルを受けて自分なりの目標にしています。今回のIJETでアメリカの翻訳の資格についてセッションがあるとわかり、おそらくこの機会に聞かなければ次に聞ける機会がいつ巡ってくるかわからないし、ほんやく検定とどのような違いがあるのか知りたいと思って受けてみました。

 

セッションは2部構成。まず簡単にATA(American Translators Association)と翻訳認定試験(Certification Exam)の説明があり、その後、模擬試験の解説がありました。

 

JTFほんやく検定との違いは多数ありました。以下、箇条書きですがまとめます。

ATA(米国翻訳者協会)翻訳認定試験とは

受験者はATAの会員になる必要がある(ただし数年以内に非会員も受験可能になる可能性あり)

試験に合格するまでは準会員、合格すると会員になれる(会員数1万1000人)

アメリカではこの資格があると、プロとしてやっていけると証明できる

日英・英日、どちらかでも(両方でも)もっていると大変価値がある

 

試験問題は新聞など一般的な分野から出題(医薬など分野別ではない)

英日、日英から選ぶ(またはそれ以外の言語ペア)

試験は3時間

試験会場で受ける(在宅試験ではない)

会場にノートパソコンを持ち込み、USBで問題を受け取る(手書きも可能)

パソコンに内蔵した辞書やオンライン辞書を使用可能(PASORAMAは不可)

3つの試験問題のうち2つを選んで回答する

 

本試験(Certification)の前にPractice Testの受験がお勧め(強制ではないが、強く推奨されている)

Practice Testはメンバーにならなくても受験可能

Certificationは合格率20%くらい

Certificationに不合格でもフィードバックは何もない

Practice Testは細かなフィードバックがある

Practice Testは在宅受験

Practice Testの方が安く、メンバーになる必要もなく、フィードバックもあるため受験を勧める

 

採点者(grader)が2人で採点し、話し合って合否を決めるシステム

Graderの資格を持っている人がフローチャートやフレームワークを使って評価する

採点基準は公開されている(Flowchart for error point decisionsや Framework for standardized error markingなどで検索してみてください)(Spelling, Punctuation, Cohesion, Ambiguity, Grammarなど)

 

 

基本的に減点方式(加点のシステムもあるが実際に加点されることはめったにない)

会員(Membership)に約300ドル、受験料300ドル(来年値上げ予定)、Practice Testは80~120ドル必要

合格後もContinuing Educationで更新が必要

 

詳しくはATAのサイトをご覧ください。

 

私が驚いたのは受験料の高さと透明性の高い採点基準です。JTFほんやく検定の場合、JTFの会員になる必要はありませんから会員としての年会費は不要ですし、受験料も5100~10300円とアメリカよりずっと安い。

 

ほんやく検定の採点基準についても公式問題集や過去問題・解説集で推測することはできますが、ATAは実際に採点者が使う採点表などが公開されているところに驚きました。このセッションの講師は4人だったのですが、4人ともgrader。自らgraderだと名乗ってワークショップをしているのもほんやく検定とは違いますね。ほんやく検定ではおそらく検定サイトの「審査担当」欄の方々が採点なさっていると思います。お一人でなさっているのか、会社の場合は複数でなさっているのかよくわかりません。ATAではgraderの2人で意見が分かれた場合、3人目の意見も取り入れて合否が決まるそうです。

 

 

以上のような試験の説明を聞いた後、英日と日英に分かれ、さらに事前課題を訳してきた人とそうでない人のグループに分かれて試験問題の解説を聞きました。私は事前課題を訳した英日のグループへ。

 

graderの講師のお二人に対して英日の事前課題をしてきた参加者は4人でしたので、一文ずつ訳文を検討していただけて大変密度の濃い翻訳の授業となりました。先生方が英文を1文読んだ後、参加者が順に当てられて訳文を読み上げ、それに対して減点される可能性のある部分を先生方が教えてくださいました。参加者の中で違う訳文があればそれについてもご意見くださいました。

 

私は直前に参加を決めたので、IJETの行き帰りの電車で手書きで訳し、わからない単語は推測し、ほぼ辞書を引かずに見直しもなく答案を作成しました。そのためケアレスミスや解釈ミスが続発!悪い見本となってきました。どれくらい解釈が違えばどれくらい減点されるか(この訳語なら1点か2点、その訳語なら8点など)よくわかりました。

 

非公開の採点用の資料もその場でのみ見せていただけました。どの訳語はOKでどの訳語はNGか。非常に細かく事前に決められていました。採点の丁寧さを知り、受験料の高さは当然なのだろうと思いました。

 

ほんやく検定の勉強を以前にしていた立場からいえば、採点基準はATAもそれほど変わらないように思います。つまり意訳より直訳。大きく冒険することなく、忠実に訳します。でも直訳過ぎてはいけません。その場合はLiteralnessなどの面で減点されます。

 

アメリカに住んでいたらこの試験を受けていただろうなと思いました。今の時点では試験を受けるためにアメリカに行く必要があるからです。今回のIJETのあと、特別に試験が実施されましたので、今後ももしかしたら日本開催のIJETのときに実施されるかもしれませんが、単なる可能性でしかありませんし、実施されたとしても私の住む地域から遠ければ受験が難しいでしょう。また、Continuing Educationで更新が必要な点も気になります。

 

そういう意味でJTFほんやく検定は受けやすかったですね。受験会場に行く必要がない、辞書は使い放題、受験料もATAよりずっと安いなど。

 

実は同じグループになった方に同じくほんやく検定1級保持者がいらっしゃいました。やはりアメリカの検定はどうなのだろうと検討していらっしゃいました。その方も日本在住。Continuing Educationは60歳以上は免除されているから、60歳を過ぎたら受けようかなとおっしゃっていて、それもありだと思いました。2人とも60歳までまだ何年もあるので、その頃に自分の状況も検定のシステムも変わっている可能性は十分ありますけどね!

 

以上、ATAのworkshopについてでした。もし、この試験を受ける予定のある方がいらっしゃったら、workshopがあれば事前に受けておくことをお勧めします!情報満載で、訳出に対するご指摘もいただけとても刺激的で楽しかったです。ではまた(^^)/

 

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