ブログに書いておくことをすっかり忘れていたのですが、2ヵ月ほど前に読み終えた本です。
表紙
スティーヴン・キングが文章の書き方を解説しています。前半は自叙伝になっていて、どのような子ども時代を送ったか、どのようにデビューしたかもわかります。
私は特に後半の作家としての暮らしや具体的な書き方について興味深く読みました。作家も翻訳者も自宅でものを書くという点では共通しているので、1日の過ごし方や、言葉との向き合い方について参考になり、蛍光ペンを引きながら読みました。
Kindle表紙
基本的に仕事は午前中に集中して終わらせ、夜には本を読むそうです(1年に70冊以上)。見直しをどのような頻度で行うか(回数や間を開ける期間など)も詳しく解説されています。避けるべき言葉や、お勧めの本リストもあります。
私はKindleの原書と日本語の文庫本、そして原書のAudible版を並行して楽しみました。Audibleではご本人の朗読が聞けます。さらに息子さんとのインタビューも収録されています。日本語版にインタビューは収載されていませんが、Kindleの原書には一部、収載されています。
AudibleのPC版
スティーヴン・キングの作品をたくさん読んでいる方は、本のアイデアをどのようなときに思いついたのかなど、作品にまつわるエピソードがちらほら出てくるので、裏話を知りつつ文章の書き方も学べて楽しめると思います。私はあまり読んでいないので正直ちんぷんかんぷんなこともあったのですが、それでも真摯に書くことに向き合う姿が伝わってきて自分の未熟さを感じました。
On Writing: A Memoir of the Craft
On Writing: A Memoir of the Craft (English Edition)
交通事故から生還した体験談も最後に生々しく語られています。でも、本全体はユーモアにあふれていて、専門としているホラー色はありません(怖くありません)。とにかく、一番重要なのはたくさん読み、たくさん書くこと。これは翻訳者にも通じることだと思うので、心がけていこうと気持ちを新たにしました(翻訳者の場合は、たくさん読み、たくさん訳すこと、でしょうか)。
裏表紙
著者が読んだ本のリストには、日本語版があるものにはタイトルなどが記載されているのですが、それは半分弱。多分、半分以上は日本語版が出ていないのでしょう。よい本でも日本語になっていない本はまだまだ多いことも実感しました。
そういえば以前に『職業としての小説家』村上春樹著を読みました(その時の簡単な記録)。この本に比べると、スティーヴン・キングの本はもっと具体的に文章力をアップさせるための方法に焦点が当てられています。生き方についてもありますが、実際に原稿をどのように修正したのか、その修正前と修正後も読むことができておもしろいと思います。