忙しさにかまけてこちらの更新が滞っていました。何度目か分からないくらいですが、今回も心を入れ替えてまた更新していきたいと思います。改めてよろしくお願いします。
今回は在日コリアンを描いた大作『パチンコ』の読書記録です。
以前からこの本の高い評価について聞いてはいたのですが、何せタイトルが賭け事そのものなのではじめは一歩距離を置いていました。
でも、評価の高さはその後も低くならないようだし、韓国や日本が舞台なら読みやすいかもと思い直し、まずは日本語のAudibleで耳読了。私にとってコリアンの名前はなじみが薄いので、耳で聞く方が文字で読むよりも覚えやすく、楽しんで最後まで聞けました。
釜山の近くで生まれた主人公の女性が日本に渡り、そこで高齢になるまでの生涯を追った物語。波瀾万丈ですぐに物語に引き込まれました。
タイトルがパチンコなのに物語の前半にはまったくパチンコの話が出てこなくて困惑したのですが、後半からは物語のキーとなる職場となりました。ギャンブラーの話ではなかったのでよかったです(もしパチンコに溺れるギャンブラーの話なら、ここまで興味は持てなかったかもしれません)。
自分の身近にパチンコをする人がいないので、パチンコ業界についてほとんど何も知らなかったのですが、コリア系アメリカ人の著者は日本にしばらく住んでいたときに詳しく取材をしたそうで、パチンコや在日コリアンとの関連についても知ることができました。
「パチンコ」というタイトルはおそらく在日コリアンの喜怒哀楽が凝縮された場であり、日本と韓国・朝鮮との関係を象徴するものとして表現されているのだと思います。なお、最後に著者のインタビューがあり、ここでもタイトルの由来は取り上げられています。さらにこの本には読書会向けのネタ(本を題材に討論できるポイント)もまとめられていて、この本は教材にしやすそうだと思いました。
日本語のAudibleを聞き終わってから英語のKindleを読んだのですが、語彙のレベルとしてはそれほど高くなく楽しめました。時折、不自然な日本語が出てくるのが少し気になった程度です。今から50年ほど前の話なのに"Maji?"(マジ?)と年上に対して返事をするとか……。このあたり、どのように日本語になったか気になりましたが、調べていません。
過去100年近くの日韓の歴史を知る機会となりました。もちろんフィクションなのですが、よく似たような苦労をくぐり抜けてきている在日コリアンの方々は多いのだろうと想像しています。
Pachinko: The New York Times Bestseller
お隣の国との歴史を学び、最後には泣けました。