2年前に亡くなった母方の祖母は、羽衣高等女学校の卒業生です。
大阪の堺市にある学校です。
今まで私は祖母からの話だけでしかその学校を知らなかったので、母から「慰霊祭の案内が来たけど一緒に行ってくれる?」と誘われたのでいってみることにしました。
祖母が通っていた学校。
今ではすっかり様子が変わっているでしょうが、のぞいてみようかなという比較的気軽な気持ちで現地へ。
ところが想像以上にしっかりとした式で大変驚き、感動しました。
まずは遺族専用の別室に通されました。
式次第がちゃんとあって、私と母は「遺族・来賓入場」のタイミングでこのホールへ。
しっかりと祭壇が組まれていて美しい。
校歌などの斉唱や、職員、大学、高校、中学の各代表の献花がありました。
そして何より驚いたのは校長先生の言葉です。
私は一般的なお話をなさるのかなと思っていました。
ところが何と、今回、慰霊の対象となった80名の氏名を全て読み上げてくださったのです。
最初に元理事長や教職員など学校関係者の名前が読み上げられ、その方々との思い出が語られました。
それだけかと思ったら、続いて女学校や高校の卒業生で、今回死亡が判明した人たちの、
・氏名(あれば旧姓も)
・女学校か、高校か
・何期生か
・お悔やみの言葉
・遺族が参列していればさらにお悔やみの言葉
・遺族が参列しているということ
・時にはその卒業生の人となり
が読み上げられたのです。
体感では30~40分あったでしょうか。
校長先生、声、枯れちゃうんじゃないかと心配したと後で母が語ったくらい、長かったです。
私の祖母の名前も読み上げられ、想像もしていなかったことでしたので大変驚き、感激しました。
その後、理事長やPTA、校友会の代表などとに続き、遺族として私も献花しました。
1時間ほどで式が終わり、遺族控え室に戻った後も校長先生があいさつに来てくださり、手土産までいただいてしまいました。
正直、「おばあちゃんが通った学校ってどんなとこだったのかな~?」くらいなお気楽な気持ちで行った私としては予想外の丁寧な対応。
今まで名前くらいしか知らなかった学校でしたが、好きになりました。
その後、母の元には学校からお礼状まで届いたそうです。
こういうのを校風というのでしょうね。
中学や高校、大学を受験するときってその学校の難易度や部活、交通の便などで志望校を絞っていくことが多いと思いますが、その学校がどんな歴史をたどってきたのかも大切なんですよね。
校長先生がとてもあたたかく、好印象でした。
伝統を守ってきただけといえるかもしれませんが、それを守るのは大変なことでしょうし、どんな方が学校のトップにいるのかというのもとても大切なことだと思いました。
祖母が通った高等女学校は今、中学と高校に分かれ、短大や大学もできていました。
10年前には男女共学に。
創立100周年という大きな節目を迎え、二代、三代と通っている生徒もいるとのこと。
偏差値だけでは測れないものがありますね。
「おばあちゃんと同じ」「お母さんと同じ」という理由で学校を選ぶのも「あり」だなと実感したのでした。
母もこんなに丁寧にしていただけるものだとは想定外だったようで感激していました。
調べてみると、卒業生の慰霊祭をしている学校はそれなりにあるようですが、私の身近には今までなかったのでなおさら感激が大きかったです。
99歳、数えで100歳まで長生きした祖母。
亡くなってもいまだに私に教えてくれるものがあってありがたい存在です。