翻訳者の暮らし

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JATの医薬翻訳関西セミナーに参加して

ほぼ1週間ぶりの更新となりました。3つの翻訳関連のイベントに参加し、怒濤のような1週間でした!

今回からいくつかに分けて、感想など記録していきたいと思います。まずは、11月26日に参加した「JATPHARMA IN 京都~医薬翻訳関西セミナー」について。

jat pharma documents

 

上の写真は当日の配付資料で、さらにダウンロードできるPDFファイルの案内がありました。先ほどダウンロードしたのですが72ページもある情報満載のスライド資料です。

セミナーは大きく4つに分かれました(敬称略)。

1. CIOMS英訳のコツ~基本から応用まで~(小泉志保)

まずは医薬翻訳の基礎から。初心者向けとも言われるCIOMSの英訳を通して、MedDRAや基礎知識、よく用いられる表現などを学びました。

事前課題があって、提出した人の訳から匿名で紹介がありました。私も提出したので取り上げていただけてうれしかったです。でも私よりもずっとわかりやすい訳の紹介もあり、とても参考になりました。

事前課題を最後まで通したのち、「病名を突き止めろ!」という応用編に入りました。NHKの「総合診療医ドクターG」のように臨床症状から病名を探るのですが、その症状を英訳していきます。英語学習に推理小説のようなおもしろさが加わって楽しく勉強できました!

 

2. 用語集とうまく付き合う方法(ベンジャミン・トンプキンス)

JAT Pharma(ジャットファーマ)というのは日本翻訳者協会の製薬翻訳分科会のことなのですが、この分科会が以前に「製薬専門日英翻訳ハンドブック」を作成しています。会員はダウンロードできますし、冊子版は非会員でも購入できる(できた?もうあまりないかも)のですが、現在、この新しいバージョンを作成中とのことです。もうすぐ入手可能になるそうで、そのお知らせと、入手可能になった場合、どのように翻訳支援ツールに組み込めるかの紹介がありました。

2017/12/24追記

このハンドブック改訂増補版が12月18日にリリースされました。会員はダウンロードできます。

製薬専門日英翻訳ハンドブックの対訳用語集の改訂増補版

 (2021/9/28追記:リンク先のサイトがなくなってしまったのでリンクを解除しました)

 

また、用語をどのように自分でも集めていくのか、管理していくかについて知ることができました。仕事やこのようなセミナーで出会った用語を手間をかけず簡単に記録に残せるようなシステムを自分なりに構築しておくことは大事ですね!

 

3. 日英翻訳ワークショップ:翻訳作業の実況中継(1)(2)(Tony Atkinson、森口理恵)

90分のランチ休憩を自由に取ったのち(参加者何人かと一緒に取った方が多いと思います)、日本語をネイティブと日本人がペアで実際に英訳したものを並べ、ディスカッションするワークショップが行われました。課題は2つあり、1つ目は糖尿病について、2つ目は薬価算定の基準についてでした。

どちらの課題もよく疑問に思う単語や言い回しが取り上げられていて、それをネイティブと日本人2人の訳例を同時に見て考えることができたので大変有益でした。例えば「など」をどこまで、どのように訳すか。お二人のアプローチは異なることが多く、それを解説しつつ会場の意見や質問に基づく改良も取り込み、さらに磨き上げられてまさにタイトル通り「翻訳作業の実況中継」でした。

特に2つ目の課題はかなり難解な原文でしたので、それが最終的に(ある意味原文よりも明快な)すっきりとした翻訳ができあがったときには爽快でした。翻訳の苦しさと気持ちよさを味わったワークショップでした。

 

4. 夕食懇親会&ミニ勉強会

夕食を各自購入し(アルコール可でした)、会場で食べながら参加者との交流、景品付きゲーム大会、日頃の翻訳に関する疑問に関する勉強会が行われました。この時間になると、退席した参加者も多かったのですが、だからこそ密度が濃く、ざっくばらんな情報交換ができたと思います。

例えば「濃度」に対する "level"と "concentration"の使い分け。Googleなどでヒット数を比べてみればよいのでしょうが、特にネイティブの方が色んなコロケーションを考えてくださり、イメージをはっきりさせることができました。有益なサイトの紹介もあり、これからの仕事で使ってみたいと思える技や考え方を学ぶことができました。

 

私は最後の懇親会の途中で帰ったのですが、大変有意義な一日を過ごすことができました。関東や海外からの参加者も多く、ネイティブの参加者が1割前後あったと思います。JTFなど他の翻訳セミナーはネイティブが少ないので雰囲気が違い、とても刺激的な一日でした!

Christmas tree

 

帰宅途中に撮影した京都駅のクリスマスイルミネーションの写真です。ご一緒した皆さま、ありがとうございました!

 

2017/12/24追記

JATからご依頼をいただいてこの日の様子をJATのブログに書いています。上記とほぼ同じですが、書き忘れていたことや当日紹介のあったサイトのリンクを足すなど変わっている部分もありますのでご興味ある方はぜひご覧ください!

JATの医薬翻訳関西セミナーに参加して

 

 

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